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zoom RSS クリスマス・オラトリオ

<<   作成日時 : 2007/12/31 10:01   >>

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今ごろクリスマスなんて、と思われるかもしれないが、もともとバッハのこの作品は、クリスマスから1月の初めまで休みをはさんで6回にわけて初演された。だから今回取り上げても許されるだろう。ということで、アーノンクールの新録音を聞いてみた。

アーノンクールといえば、すっかり大家となり、もはや異端児扱いはされていないが、今の若いリスナーにはどう受け取られているのだろうか、ちょっと興味がある。私といえばその昔、ヴィヴァルディの「四季」や、ヘンデルの「水上の音楽」の録音を聴いた時の驚きが忘れられない。賛否があったようだが、とにかくそれまでの演奏とはまったく違った印象を受け、ピリオド楽器普及のさきがけとなったといえると思う。

といっても私は、ピリオド楽器といえば最初の頃はもっぱら器楽作品ばかり聴いていて、声楽曲も聴くようになったのはヘレヴェッヘによる一連のバッハの録音によってだった。アーノンクールによる昔の声楽曲の録音は、レオンハルトと分担したバッハのカンタータを除けば聴いたことがない。バッハイヤーにあわせて出た「マタイ受難曲」の新録は聴いたが、私にとってはヘレヴェッヘの1回目の録音やレオンハルトのCDに取って代わるものではなかった。

さて、「クリスマス・オラトリオ」は聞き込んでいる作品とはいえないので、今回のアーノンクールの演奏をどう評価すべきか正直よくわからない。しかし通して聴き、さらに何箇所か「つまみ聞き」した限りでは、奇をてらった解釈があるとは思われず、安心して楽しめるといえるのではないだろうか。ライブ収録のためか、私の再生装置では響きがちょっとこもった録音のように感じるが、逆に言えば演奏会の雰囲気が出ているといえるかもしれない。

ただ(他にそうたくさんの演奏を聴いたわけではないが)、私にとって今のところナンバーワンのCDである、アルモニア・ムンディ・フランスのヤーコプスをしのぐものとはいえなかった。この演奏は、冒頭からティンパニが豪快だし(アーノンクールもなかなかいいが)、リュートを使っていて、これがまた実にいい雰囲気をかもし出している(メンバー表を見たら、何と名手ユングヘーネルであった)。

しかし私にとってこの演奏の印象を決定づけたのは、何といっても第2部の第1曲「シンフォニア」である。ヤーコプスは、(ピリオド演奏には珍しく?)何ともゆったりしたテンポを取っていて、弦と木管がひきたつ。そして初めてこれを聴いた時、じきになぜか、じわりと涙が出てきた。この曲でこんな経験をしたのはあの時だけだった。さすがに今は(残念ながら)そこまではいかないが、いつ聴いてもすばらしい演奏だと思う。そしてここまで満足させてくれるCDは、今のところ他にはない。

アーノンクールの「クリスマス・オラトリオ」、として書き始めたら、結局ヤーコプスの話になってしまったのが心苦しいが、先に書いたように、もちろんこの新録音も悪いはずはないだろう。日本のリスナーに今後どのように受け取られていくかわからないが、ぜひ評価されてほしいと思う。この作品、どうも評論家が雑誌等の特集で推薦するのは、きまって特定の指揮者・特定のレーベルの演奏で占められているようだから、ということもある(誤解のないように付け足すと、特定の指揮者が悪いということではなく、センセイ方がいつも同じ演奏ばかりをあげているのが不思議でならない、ということである)。

最後に演奏と関係ないことを書くと、このCD(輸入盤)、外箱もケースも解説書も、金色だらけである(おまけに数枚のクリスマスカードまで封入されていて、豪華このうえない)。ここまでキンキラキンだと、ぞんざいに扱えないという気になる。まあ、そんなのは気にしないという人もいるだろうが、実際問題としては、解説書のページが光って字が読みにくい(読みかけてやめてしまった)。別名「黄金のホール」のムジークフェラインザールで録音されたことにちなんだのか、ちょうどクリスマスも視野に入る時期に発売され、セールスを狙ったものなのか、いずれにせよ、ここまで華美にする必要があるのか、とも思ったりした。


Bach: Christmas Oratorio
Nikolaus Harnoncourt (指揮)

Bach: Christmas Oratorio
Rene Jacobs

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