celebrity と「セレブ」

celeb をめぐってさらに続ける。「セレブ」という言葉を聞くようになって久しいが、私がこの日本語を誤解しているのでなければ、celebrity と必ずしも意味が同じではないので注意が必要だ。前回の cause célèbre で見たように、この単語は famous という意味が基本にある。

- 1. a widely known person; "he was a baseball celebrity"
2. the state or quality of being widely honored and acclaimed [syn: fame] [ant: infamy]

- 1 : the state of being celebrated : fame 2 : a famous or celebrated person

Online Etymology Dictionary によると、「有名人、名士」の意味で使われるようになったのは、そう古いことではないようだ。
- c.1380, "solemn rite or ceremony," from O.Fr. celebrite, from L. celibritatem (nom. celebritas) "multitude, fame," from celeber "frequented, populous." Meaning "condition of being famous" is from 1600; that of "famous person" is from 1849.

日本語の「セレブ」は、何かしら豪華・高級・金持ちといったイメージが伴っているのではないかと思う。celebrity は定義を見る限り、そうした特徴があるかどうかを問うものではない。まあ、人気俳優などに使う場合は「セレブ」と訳しても差し支えがない場合が多いとは思うが。また being widely honored and acclaimed とあるので、名が知られていても「悪名」の方だと資格はなさそうである。

もうひとつ、日本語は「」レブと最初にアクセントがあると思うが、英語は最初はあいまい母音、そして2つ目の母音 /e/ に強勢がある。日本語風に発音しないよう注意が必要だ。

ついでだが、celebrity worship syndrome (略称 CWS) なるものがあるそうだ。これも対象がエンターテインメント、ショービジネスだったら「セレブ中毒症」といったところか。しかしそれでは深刻さが伝わらないだろうか。
http://www.wordspy.com/words/celebrityworshipsyndrome.asp
http://en.wikipedia.org/wiki/Celebrity_Worship_Syndrome

さてこのところ celeb について続けて書いてきたのは、アメリカ大統領選挙で共和党副大統領候補になったペイリン氏についての英文がきっかけだったが、一躍時の人となった彼女をめぐって、さっそく過去や身辺を探る動きが活発になっているようだ。

その適格性を探る狙いもあろうが、やはり人間とは、基本的にゴシップや他人の不幸を喜ぶ動物なのだろう。こうした scrutiny は馬鹿馬鹿しいと感じていたが、政治家や芸能人といった仕事を目指すのであれば、それなりの覚悟をする必要があるはずだと最近は思うようにもなってきた。


関連エントリ:
cause celeb(辞書に載っていない単語)
続・cause celeb(辞書に載っていない単語)
「辞典に載っていない表現・説明」一覧