vinylとビニールとplasticと

このところ「紙ジャケット」の関連で書いているが、コンパクト・ディスクの誕生で姿を消すかに思われたLPレコードは、数は激減したが今も生産が続いている。この「レコード」を英語では vinyl ともいうのが面白い。つまり「ビニール」である。

この単語、先日 Tyvek について書いた時の実例にも出てきたが、改めて英英辞典を調べると、

- (collectively, uncountable) Phonograph records as a medium
Many DJs prefer vinyl to CDs.

- Phonograph records considered as a group:
a secondhand store that buys and sells vinyl

- records made of vinyl, in contrast to CDs
My dad had to buy CDs of all the albums he already owned on vinyl.

- IDIOM: on vinyl
In the medium of phonograph recordings:
an old song available only on vinyl

Online Etymology Dictionary には、

- Slang meaning "phonograph record" (1976) replaced wax in that sense.

とあって、wax にもレコードの意味があると知り、へえっと思った。

ところで日本語で「ビニール」で呼ばれるものには、英語ではしばしば plastic が使われている。例えばビニール袋は plastic bag、ビニールハウスは plastic greenhouse だと辞書にある。

また「ビニール」ではないが、クレジットカードは plastic card [plastic money] である。ペットボトルは、専門用語が並んだ長い言葉を取って大文字で表記した PET bottle となるが、plastic bottle でもいい。余談だがこの「ペット」ボトルを愛玩動物に使う pet と勘違いしている人が実際にいた。この単語には「気に入ったもの」という意味があるし、持ち運びに便利なので愛用しているとペットのような感覚になるのかもしれない。

誤解ということでついでに脱線だが、最近は「蚤の市」が死語になりつつあり、「フリーマーケット」というようになったせいか、flea market であることを知らず、*free market だと思っている人がいた。確かに、タダ同然の古物が手に入るところではあるが。

さて vinyl に戻るが、この単語の発音記号をみると /vainl/ である。以前取り上げた Satan も「サタン」とは違って /seitn/ だったように、日本語の表記から想像するのとは違った発音には注意が必要だ。

ちなみに vinyl は化学用語としては「ビニル」と表記される。その昔、理系の人と話をしていたら、さかんに「ビニル」「ビニル」というので、「ビニールのことか」と聞いたら「決まってるじゃないか」と言われ、辞書で確かめて初めて知った。


参考:
「紙ジャケ」とTyvek sleeve
Luciferの正体は何か
「注意したい発音」一覧
discとdiskはどう違うのか
「無人島の一枚」とdesert island discs