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zoom RSS ルビコン川で骰子を投げる

<<   作成日時 : 2007/04/19 08:03   >>

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前回、サイコロを表す2つの単語について、「ことわざ・成句以外は単数形の die はまれ」という辞書の記述を紹介したが、連想した名句といえば、やはりカエサル(シーザー)がルビコン川渡河に際して言ったという "The die is cast." である。

ある英和辞典には、cast の代わりに thrown でもいいと表記されているが、実際にネットを検索してみると、"The die is thrown." は非常に少なかった。もちろん、原語 ("alea jacta est.") は英語ではないので問題はなかろうが、cast の方がより一般的らしいとはいえそうだ。

連想したのが、cross the Rubicon というイディオムである。カエサルの故事から、Rubicon には a point of no return という意味がある。国語辞典にも、「重大な行動に出るたとえとして『ルビコン川を渡る』」と用いられる」(デジタル大辞泉)とあり、日本語になっているともいえそうだ。

私がクリッピングしてある英文では、次のように使われたものがあった。

- To prove to President George H.W. Bush when they met in Malta in December 1989 that he (Gorbachev) had "crossed the Rubicon"...

- ...doves will warn that escalating pressure will simply provoke the North Koreans into crossing the nuclear Rubicon.

ところで、塩野七生の「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以前」は、カエサルがこの有名な言葉を兵士に述べるところで劇的に終わっている。史書を元に再現したという同書の渡河の場面によると、ルビコン川は、

二千年後の今日では三つもの流れに分かれていて、そのどれが歴史上のルビコンであるのかほんとうのところは不明なのだが、川水を蹴立てて渡れる程度の川であるのは、紀元前一世紀当時でも変わりはなかった。

ということだそうだ。カエサルの言葉につながったのは、川が難所かどうかではなく、川が越えてはならない境界線となっていたことである。

余談だが、川といえば、私はかつて中東のヨルダン川に行ったことがある。「これが聖書やニュースに出てくるヨルダン川か」と拍子抜けしたものだ。たった一部分を見ただけなので、もっと川幅の広いところがあるのかもしれないが。

ついでにもうひとつ、まったく関係ない余談だが、"The die is cast." からの連想で、ローリング・ストーンズの名曲「ダイスをころがせ」は、原題が "Tumbling Dice" であった。


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