「さいころ」はdieかdiceか

前回あげた chancy の同義語として頭に浮かぶのが dicey である。何の目が出るかわからないさいころ dice と関係あると思えば覚えやすい。

英英辞典の定義と例文を抜書きしてみよう。

- dicier, diciest MAINLY UK INFORMAL
slightly dangerous or uncertain:
The company's finances look a bit dicey.
- of uncertain outcome; especially fraught with risk
- risky, unpredictable
a dicey proposition
dicey weather

ところで dice は、やはりさいころを意味する die から来ているという。この2つの単語の使い方に何か違いはあるのだろうか。

私が使っている電子辞書の The New Oxford American Dictionary を見ると、

Historically, dice is the plural of die, but in modern standard English, dice is both the singular and the plural: throw the dice could mean a reference to two or more dice, or just one. In fact, the singular die (rather than dice) is increasingly uncommon.

とあった。他の辞書を見ても同じようなことが書かれていたので、さいころを表す時には、とりあえず単数にも複数にも dice を使えばいいようだ。

ところで、「ジーニアス英和辞典」(電子辞書版)の dice には、次のような説明がある。

[die の複数形]
(1) 普通は2個以上を1組として用いるので複数形が普通。
(2) 成句・ことわざ以外では単数形はまれ。
「さい1つ」は、a die または one of the dice という。
Where are [is] the dice?

この説明は一見詳しいようでいて、実際にはちょっと不親切な記述ではないかと思う。

(1)を読むと、「1個しか用いない場合は普通でないということなら、やはり die を使うのだろうか」と考え込む人もいるのではないか。(2)とあわせて考えると、実際には「1個でも複数形の dice を使うのが普通であり、その理由は通常2個以上を1組として使うことに由来する」ということをいいたいのだろうと思ったが、どうなのだろう。

さらに、「さい1つは a die」というのは、a dice の誤りではないだろうか。そうしないと、次の例文とも整合性が取れないような気がする。私の読み方が間違っているだけかもしれないが。ちなみに「リーダーズ英和辞典」には、a dice = one of the dice という記述がある。

ところで、「死を賭す」ではないが、英語でも「さいころ」と「死」を結びつけてもおかしくないだろう、とかつては勝手に思っていたが、語源に多少の関心が出てからは、同じ die でも由来がまったく違うことを知った。さいころは

- 14th century. < French de (plural des) < Latin datum, past participle of dare "give, play"

ということだそうだ。

なお、さいころの「目」を表すのに、pip という単語があることを付記しておこう。

さいころの die については、後日さらに続きを書くことにしたい。


関連:
「やばい」chancy
「辞典のここが不満」一覧
ルビコン川で骰子を投げる
松坂大輔の愛称Dice-Kをめぐって