「哲学の」ではないphilosophical

最近読んだ The Beatles についての伝記 "The Love You Make" は、ジョン・レノンの死で締めくくられるが、その最後の部分で、夫人のオノ・ヨーコについて、次のようなことが書かれている。

- She is publicly very philosophical about his death.

「ジョンの死に対して哲学的な態度を取っている」と考えると、何となく意味深な感じがするが、philosophical とは具体的にどんな態度のことなのだろうか。

辞書を見ると、

- rationally or sensibly calm, patient, or composed.

- characterized by the attitude of a philosopher; specifically : calm or unflinching in the face of trouble, defeat, or loss

- If you are philosophical in your reaction to something which is not satisfactory, you accept it calmly and without anger, understanding that failure and disappointment are a part of life.

といった意味が載っている。単なる「哲学の」だけではなさそうである。ついでに、名詞の philosophy は次のように説明されている。

- calm resignation: restraint, resignation, or calmness and rationality in somebody's behavior or response to events

- calmness of temper and judgment befitting a philosopher

英和辞典を見ると、「達観した」「淡々とした」「動じない」「諦めのいい」といった訳語が並んでいる。philosophy の方は「達観、悟り、冷静」など。

私はこうした意味を、学生時代に何かの翻訳を読んでいて知った。「哲学」にふさわしくない状況で縁もなさそうな登場人物がこの言葉を使っていたので、何となくしっくりしなかった。原語は philosophical だろうとあたりをつけて辞書を引いてみたら、「哲学」以外の訳語が並んでいた、というわけである。翻訳を読んでいて、どうも直訳調だなと思う言い回しがあったら、逆に英語を想像してみると、思わぬ収穫があるかもしれない。

副詞についても take (something) philosophically は「哲学的に受けとめる」というより「淡々と受けとめる」、accept ~ philosophically なら「甘んじて受け入れる」。また talk philosophically は「哲学的に語る」というより「沈着冷静に語る」ほどの感じであろう。


参考:
「この単語の意外な意味」一覧
ビートルズのbiography読了