high fiveと「ハイタッチ」の謎

仲間と手のひらを掲げて叩きあう例の動作のことである。日本語では普通「ハイタッチ」と呼ばれていると思うが、私が見た範囲の英和辞典は、多くが「ハイファイブ」という訳をあてていた。個人的には聞き慣れないうえ、出版社が違うにもかかわらず、この訳語ばかり辞書に載っているようなのはなぜなのか。

カタカナ語辞典もいくつか書店で見てみたが、「ハイタッチ」はかなりの辞書が見出し語として載せていたものの、「ハイファイブ」は見当たらなかった。

ある英和辞書は、「ハイファイブ」という訳を挙げたあと、カッコに入れて「(ハイタッチは和製英語)」と補足していた。執筆者は、日本で「ハイタッチ」と呼ばれることを知りつつ、和製英語という理由で対応語としては扱えないと考えたということか。個人的にはどうも腑に落ちない。

もうひとつ気づいたのは、この表現をどんな動詞と組み合わせればいいのか、ほとんどの英和辞典がコロケーションを載せていないことだった。ある辞典に give high fives、別の辞典に slap high fives とあった程度である。日常生活であまり縁がない表現ならまだしも、むしろよく使いそうなのに、不親切ではないだろうか。

さらに、複数の英和辞典に「通常単数形で使う」という注がついていた。しかし前掲のコロケーションの用例のように、複数形で使われる用例を載せている辞書もある。どうなのか疑問がわくが、オンラインの英英辞典をいろいろ見ても載っていなかった。

単語や表現を文で説明するのが売りの Cobuild の米語辞典を見たら、この表現を "If you give someone a high five or high fives, (以下略)"と説明していた。詳しい使い分けはともかく、単複どちらでも使えそうな感じを受ける。動詞はとりあえず give を使えばいいようだ。

ついでに、普通の英英辞典の説明は a gesture of celebration or greeting in which two people slap each other's palms with their arms raised などとなっている。

さて、この動作については highfive.me.uk という、ちょっと面白いサイトがある。起源やタッチのバリエーションの説明、さらには医学的解説まであって、なかなか楽しめる。
http://www.highfive.me.uk/

この表現の five はやはり指の本数から来ているようだが、最初の使用については、いくつかの辞書やサイトに、1980年ごろバスケットボールで使われたという説が載っている。が、動作自体はさらに古く、上記のサイトは1977年の例を引き、また Online Etymology Dictionary はこんな説明を載せている。

- originally U.S. basketball slang, 1980 as a noun, 1981 as a verb, though the greeting itself seems to be older (e.g. Dick Shawn in "The Producers," 1968).

ついでだが、腰の辺りでパチンとやるのは low five と呼ぶようだ。


参考:
「数にちなんだ表現」一覧
「辞典のここが不満」一覧