「会う」と訳したくないmeet

ビートルズの2枚目のアルバム "With the Beatles" は、顔を半分影にしたモノクロ写真のジャケットが印象的で、類似の作品やパロディを生んだ。アメリカと日本では、選曲が異なる "Meet the Beatles" というアルバムに使われた。このジャケットから、私はいまだにオリジナルではなく、この独自編集盤の方を思い浮かべる。

画像この meet であるが、"Meet (だれそれ)" という形で、作者・語り手が読者や視聴者に登場人物を提示するときに使われることがあるようだ。しかし meet の使い方としてこれに触れている辞書を見たことはない(具体的には調べてはいないが)。まあ、この動詞の用法というほど大げさなものではないのだろうが、実際の英語を見聞きしていて気づいたことなので、ちょっと記しておく。

例えばあるペーパーバックには、語り手が読者に対して "Meet Mr. X" (Xには具体的な名前)と述べるくだりがあった。2種類の翻訳が出ていて、一方は「X氏を紹介しよう」、もう一方は「X氏に会ってみよう」になっていた。日本語としては、やはり前者の方が自然だと思う。

これと直接関連はないが、「そこで(だれそれ)が登場」と描写するのに、"Enter (so-and-so)" というト書き風の言い方があるのを連想した。

今回読んだビートルズの伝記 "The Love You Make" にも、あるロックコンサートを計画した主催者が、盛り上げるためには何をしたらいいかと考えた末、「そうだ、ジョン・レノンをゲストに呼ぼう」と思いつくというくだりがあり、そこで "Enter superstar John Lennon." という文が出てきた。といっても、その時ジョンが主催者の前に実際に姿を現したということではなく、ジョンがこの催しにからんでくる端緒を示したものであろう。

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