「わら人形」とstraw man

先日書いた hang in effigy という表現から連想したのが、日本の「わら人形に五寸釘を打つ」行為である。わら人形を直訳すれば straw man といえばいいのだろうか。そして英語では何か特定の意味があるのだろうか。

辞書で straw man を見ると、まさに「わら人形」そのもの、そしてそれ以外の意味も載っていた。

- a bundle of straw made into the likeness of a man and often used as a scarecrow
- an effigy in the shape of a man to frighten birds away from seeds

- a person used as a cover for some questionable activity
- front for somebody: somebody who acts as a front for somebody else's questionable or illegal activities

- a weak or sham argument set up to be easily refuted
- unimportant issue or person: an issue or person of little significance, put forward to be easily defeated

英和辞典では straw man あるいは man of straw について、

- (主に英)意思の弱い人間、役に立たない[見せかけだけの]人間
- 価値のない人、つまらない人(nonentity)

- (主に米)(危ない)計画のためのおとり、身代わり、犠牲、隠れみの
- 隠れみのの役割をする人(front); 影武者

- (すぐに論破されることを見越した)論拠の弱い議論[(主に米)straw man ともいう]
- (簡単に負かすために選んだ)弱い相手;架空の問題

また、「わら人形に五寸釘」から連想したのがブードゥー教である。ネット記事を検索したら、voodoo doll とか voodoo effigy という言い方があった。人形を使った呪術を恃むのは、洋の東西を問わないようだ。

- In another experiment she conducted, people were asked to stuff pins in a voodoo doll that represented an annoying person. When the annoying person (who was a confederate of the researchers) faked a headache, people who had wished the person harm seemed prone to believe their thoughts had triggered the headache
.
さらに straw の関連で見つけたのが jackstraws である。 jackstraw (a small thin stick used in the game of jackstraws) を使ったゲームで、「〈単数扱い〉木切れ, わらなどを積み上げた山を崩さないよう1本ずつ抜き取って多い方が勝ち, という遊び」などとある。これだけではよくわからないが、商品のサイトに写真が載っている。

http://www.playthingspast.com/sh830.html
http://www.vintagevolumes.com/jackstraws.html

ところで、今回の表現で思い出したのが、カトリーヌ・アルレーのミステリ「わらの女」である。原作はフランス語だが、この通りの原題で、内容もまさに "man of straw" のもじりである。"Woman of Straw" として映画化され(私は観たことはないが)、007を演じ始めた時期のショーン・コネリーが出演している。

なお straw については、以前、国連事務総長の決定にからんで straw poll (模擬投票)といった関連表現について書いたことがあるので、参考にしていただければ幸いである。


関連:
軽くはないstrawさまざま
hang in effigyという慣習

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カトリーヌ・アルレー 安堂 信也

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