「刑事コロンボ」とportの思い出

先日取り上げた port からさらに連想を続ける。「刑事コロンボ」は、私が十代はじめのころ人気があったアメリカのTVドラマだ。この中に、「別れのワイン」という邦題のエピソードがあり、出色の出来だった。そして私にとって、英語の表現をもじってタイトルにすることがあることを知り、英語の面白さに気づかされたという意味でも、思い出の深い作品である。

テレビで初めてこの作品をみて数年、英語を学んでいた私は、ろくに読めないのにペーパーバックに手を出すようになっていた。買ったのはほとんどが映画やテレビドラマのノベライゼーションだった。家庭用ビデオがまだなかった、また発売されても高価すぎて一般に普及していなかった時代、TV番組の小説化は今より盛んだったと思う。

ある日、書店の洋書コーナーで「コロンボ」のペーパーバックのひとつを見つけてぱらぱら眺めたら、あの「別れのワイン」を小説化したものだとわかったので喜んで買い求め、何日もかけてわかるところを眺め、多少とも読んだつもりになった。

ペーパーバックの表紙に書かれていた「別れのワイン」の原題は "Any Old Port in a Storm" だった。

辞書を引くと、any port in a storm という表現があり、「嵐の時はどんな港でもないよりまし」「窮余の策」などと説明されている。しばらくして、そうか、物語の中で重要な意味を持つ(ポート)ワインとこのイディオムの2つをかけたタイトルなのだろう、と気づいた。たぶん間違いではないと今も思っている。

port
- any of a class of very sweet wines, mostly dark-red, originally from Portugal.
- "sweet dark-red wine," 1691, shortened from Oporto, city in northwest Portugal from which the wine was originally shipped, from O Porto "the port."

any port in a storm
- (proverb) in difficult circumstances one welcomes any source of relief or escape.
- any source of help or refuge is welcome in desperate circumstances
- In an emergency, we will accept help from any source and in any place, even from an unpleasant person.
- phrase any port in a storm first recorded 1749.

なお1932年に "Any Old Port" という短編映画がアメリカで作られているという情報がネットにあった。何か関係があるのかはわからないが。

「別れのワイン」は現行のDVD全集で第10巻に収められている。傑作が多いこのシリーズの中でも、ベスト1に推すファンも多いのではないかと思う。

追記(2007年12月):
「刑事コロンボ」は、雑誌つきDVDの形式で、先ごろ隔週刊で発売が始まり、廉価で手に入るようになった。下記の出版元サイトによると、「別れのワイン」は発売日は不明だが、第19号として予定されている。
http://www.de-club.net/kcd/?gclid=CJTgy-HtqpACFQ8tewodnVEwrQ

なお、英語表現とテレビ番組のタイトルについては、以前アメリカの人気SFドラマシリーズについて書いたことがある。よろしければご覧いただきたい。
「スタートレック」のタイトルに学ぶ英語


参考:
「映画・テレビ・音楽から」一覧
starboardは「星」とは関係なかった

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