starboardは「星」とは関係なかった

「航海」にちなんだ表現を先日書いたが、そこから連想を続けよう。「左舷」は port または portside で、「右舷」は starboard というが、知らなければ日本語からはなかなか想像がつかないのではないだろうか。

port については、昔から接岸する側が左舷だったのだろう。辞書を調べてみよう。

- the left-hand side of a vessel or aircraft, facing forward.

- Mid-16th century. Shortening of port side, because the side that faced the pier and over which cargo was loaded

古くは larboard という単語が「左舷」に使われたらしい。

larboard
- port side: the port or left side of a vessel ( dated )

- Origin: 1300-50; ME laddeborde (perh. lit., loading side; see lade, board); later larborde (by analogy with starboard)

これに対して、右舷はいわば海の側なのに、星を使って表現するとは、やはり航海に星が欠かせなかったからなのだろう。中世には、Ave Maris Stella 「めでたし、海の星よ」という歌があった(この「海の星」とは実際の星ではなく、聖母マリアのことだが)。

…と思いながら、オンライン辞書を見てみたら、これは大はずれであった。

- Origin: bef. 900; ME sterbord (n.), OE steorbord, equiv. to steor steering + bord side (see board)

- Old English steorbord< steor "steering paddle" + bord (see board)

つまり、starboard の star- は星ではなく、オールを岸とは逆の側につき出して船を漕ぎ、沖へ出していったことに由来するということらしい。


参考:
「航海」にちなんだ表現