「第五の騎手」(the Fifth Horseman)

先日取り上げた「黙示録」の the Four Horsemen と関連がある表現を紹介したい。これも私が見た限りでは、言及している辞書はないようである。

「黙示録」では、悪に対する神の勝利とともに、さらに1頭の馬と騎手が登場する。これは the Fifth Horseman (of the Apocalypse) と呼ばれ、「キリストの再来」を示すとされる。

しかし the Four Horsemen が災厄を表していることから、その並びで、現代の新しい災厄(核兵器など)を指すのに使われることがある。

実例をネットから拾ってみよう。

- It is becoming increasingly clear neither the International Atomic Energy Commission nor the U.N. Security Council can persuade Iran's Israel-hating President Mahmoud Ahmadinejad to give up his new role as the fifth horseman of the apocalypse.

- The Fifth horseman of the Apocalypse -- the extraordinary price of fuel -- is destroying our profitability.

- While the participants in the turning of the first millennium feared the Four Horsemen of the Apocalypse - war, social collapse, famine and death - most of us have been worrying about the Fifth Horseman of the Apocalypse -- Y2K -- the little glitch that makes computers think the double zero really means 1900, not 2000.

この The Fifth Horseman をタイトルにした小説もいくつかあるようだ。私が読んだことがあるのは「第五の騎手」というサスペンス小説の翻訳で、リビアのカダフィ大佐の送ったテロリストがニューヨークに原爆を仕掛ける、というもの。

現実のカダフィ大佐とリビアは、大量破壊兵器の開発を放棄し、開放政策に転じた。いい意味で現実が小説を追い越してしまった例といえるだろう。

さらに余談だが、今から二十数年前、アメリカを旅行していた時のこと、ある都市の公園で寝転がっていたら、突然男性が話しかけてきて、「ソビエトがいずれ消滅することは『黙示録』で予言されている」と延々と講釈されたことがある。

その時は、大国ソ連が崩壊するなど到底考えられず、「何をバカな」と思いながら、下手な英語でやりとりした。しかし、その後ずいぶん経ってからだが、ベルリンの壁が崩壊し、ソ連も本当になくなってしまった。あの男性はこれをどうとらえたことだろうか。彼が熱弁を振るっていた Armageddon を経てのことではなかったのは幸いだった。


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