「カウントダウン・ヒロシマ」 Shockwave: Countdown to Hiroshima

人類初の核実験から広島への原爆投下までのおよそ3週間を、科学者や軍人、アメリカと日本の政治家、そして広島市民の姿を通して描いた、最近のノンフィクションである。

原爆投下前夜の広島。星空のもと、縮景園で逢引をする男女。恋愛小説のようなプロローグに続いて、舞台は一転、その3週間前のアメリカに飛び、冷たい現実を記していく。

原爆実験の準備と成功、それを受け、日本が無条件降伏を呑まなかった時の切り札として、着々と進められる投下訓練。そして日本に降伏を迫る米英。

その一方で、受け入れ可能な形での戦争終結を密かに模索する日本の一部の指導者と、核の使用に反対する一部のアメリカ人たち。

しかしそうした努力は実を結ばず、広島の運命は決まり、そしてその時を迎える。

最後に描かれるのは、戦後の復興を遂げ、かつてと変わらぬ姿を取り戻した縮景園である。しかしかの男女にとって、一緒の幸福な時を過ごせたのは、前日の夜が最後となった。

著者はイギリス人のジャーナリストで、歴史資料のほか、日本人を含む存命中の関係者に対するインタビューに基づいて、再構築した労作である。

きょうは長崎の「原爆の日」。広島については "No more Hiroshimas." といわれるが、長崎については、次の言葉を目にしたことがある。

"Let Nagasaki be the last nuclear-bombed city in history."


Shockwave: Countdown to Hiroshima
Stephen Walker

参考エントリ:
「夕凪の街 桜の国」
「ヒロシマ」を伝えるアメリカ人
Hiroshima (John Hersey)
「カウントダウン・ヒロシマ」
「ノーモア・ヒロシマ」の英訳
広島市長の平和宣言