「ノーモア・ヒロシマ」の英訳

「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ」を、そのまま "No more Hiroshima." とするのは適切ではない。これだと、広島という都市はもうなくていい、というような意味になってしまうはずで、はなはだまずいことになる。

参考書の「ロイヤル英文法」がこれについて取り上げている。no more の項に、「広島の惨劇は繰り返すな」という意味なので "No more Hiroshimas." と複数形にしなくてはならない、という記述がある。また、"No more Hilters." なら「ヒットラーのような独裁者をもう出すな」、単数形の "No more Hilter." だと「ヒットラー(個人)にはもううんざりだ」という意味になると説明している。

この参考書の英文を校閲しているのは、好著「日本人の英語」を書いたマーク・ピーターセン氏だが、氏は「英語塾」という著書の中でも、"No more Hiroshima." はまずい、という指摘をしている。

一方、以前紹介した「表現のための実践ロイヤル英文法」は、やはりピーターセン氏が著作陣に加わっているが、これまで見た限り、「ノーモア・ヒロシマ」についての説明はなく、ちょっと残念に思った。

"No more Hiroshimas" といえば、これをタイトルにした詩集もある。作者のジェイムズ・カーカップは、その英文が英語学習書でよく取り上げられていたので、お世話になったという人もいることだろう。私もその一人だ。この詩集にある作品のひとつを、次で読むことが出来る。
http://www.spokesmanbooks.com/No%20More%20Hiroshimas%20Poem.htm


マーク・ピーターセン英語塾マーク・ピーターセン英語塾
Mark Petersen
集英社インターナショナル


参考エントリ:
「夕凪の街 桜の国」
「ヒロシマ」を伝えるアメリカ人
Hiroshima (John Hersey)
「カウントダウン・ヒロシマ」
「ノーモア・ヒロシマ」の英訳
広島市長の平和宣言