a slice of heaven

訪米中の安部総理がブッシュ大統領と会談した。去年、小泉首相の訪米時にも書いたが、ホワイトハウスの公式サイトは、主な会見を映像・音声つきで載せるので便利だ。今回の共同記者会見もさっそく掲載されていたが、会見でブッシュ大統領が使った表現について書いてみたい。

http://www.whitehouse.gov/news/releases/2007/04/20070427-6.html

会見の初めの方で、ブッシュ大統領がこんなことを言った。

I hope he (=Abe) comes to my ranch soon. I looked forward to welcoming here to Camp David, but I also look forward to taking him down there -- one might call it a little slice of heaven.

この "a slice of heaven"、大統領の即興表現とは思われず、手持ちあるいはオンラインの辞書を見たが、記載がない。しかし Google で検索したら、37万件ものヒットがあった。他の辞書をすべて調べたわけではないので断言できないが、辞書にはあまり見当たらないものの、かなり使われているといえそうだ。この表現を cliché と呼んでいる実例もある。

- Sorry for the cliché, but it was indeed a slice of Heaven.

検索でヒットしたものを拾い読みした範囲では、意味や由来の説明は見つけられなかったが、実例を見る限り、語句からも想像できるように、「ちょっといい場所」「快適な気分にさせてくれるもの」を指すようだ。

ホテルやレストラン、食べ物やスポーツの試合など、楽しみを与えてくれる有形無形の事物に使われている。食べ物では、slice にひっかけてか、ピザやパイについて使われる例が目についた。店の名前にも使われている。

- It is a little slice of heaven in every bite!

- Pick up the book "A Slice of Heaven," in which the author identifies the best pizza in the U.S.

- I just had some (ワインのこと) with Thai food and the match was a little slice of heaven here on earth.

- X's (店名) rustic atmosphere and limitless hiking opportunities offer a slice of heaven for outdoor enthusiasts.

- Instead of creating a little slice of heaven, it seems you've actually brought a rather large chunk of it down here. Heavenly indeed.

また、Julia Roberts が出演した "Mystic Pizza" という映画(1988年)があって、モデルとなったピサ店がコネチカット州にあることを知った。その看板には、映画のタイトルと同じ店名とともに、今回の表現が書かれていた。

http://hartford.about.com/library/weekly/aa021802a.htm
http://hartford.about.com/gi/dynamic/offsite.htm?site=http://www.mysticpizza.com/

安倍総理の訪米に戻るが、プレスリーについてのパフォーマンスやジョークを連発した小泉前総理に、やはり安倍総理はかなわない。キャラクターが違うので仕方がないが、今回の会見でブッシュ大統領が、盛んに夫人の昭恵さんを持ち上げていたのに、安倍総理は社交辞令ひとつ言わず、やはり残念だった。

慰安婦問題でアメリカの一部から批判されている安倍氏だが(「ニューヨーク・タイムズ」の最近の記事など、総理の発言の一部分だけを抜き出したもので、フェアな手法とはいえないと私は思うが、それはともかく)、こうした会見の場は、人間性を見せる絶好の機会のはずだ。

小泉氏のような、過剰ともいえるパフォーマンスは不要、というより安倍氏には無理だろうし、似合わないだろうが、そこまでせずとも、周囲のスタッフが、もう少し知恵をつけたりお膳立てしたりすることはなかったのだろうか。こうした「演出」は、やはり必要だと思う。