人気急上昇の単語surge

先週の「タイム」と「ニューズウィーク」最新号は、いずれもカバーでイラク政策をめぐる記事の見出しを掲げ(「ニューズウィーク」はカバーストーリーではないが)、それぞれ "The Surge"、"The 'Surge' War" と、そろって同じ単語を使っていたのでちょっと驚いた。というのは、この surge という単語、最近の英文記事で相次いで取りあげられていたのを読んだばかりだったからだ。

画像ひとつは先日書いた アメリカ方言学会 The American Dialect Society の2006年版 "Word of the Year" で、この surge も候補のひとつになっていた。an increase in troop strength と説明されていたが、具体的には、アメリカ軍のイラク派兵に関連してよく目にする単語である。

もうひとつは、1月9日付けロイター通信の "In US troop debate, rhetoric escalates...or surges" で、イラクへのアメリカ軍の増強を表す場合に increase に代わって surge が好んで使われるようになっているという内容だった。この記事は、イラク情勢にからむ、いくつかの言葉の使われ方について書いたもので、

"It's very hard to find neutral language, especially in politics," he said. "Surge is a curiously neutral term actually, because it doesn't automatically imply something better or something worse."

という、The American Dialect Society の専門家による説明を紹介している。

またこの記事には、増派について、

The move has been described by the bipartisan Iraq Study Group and military strategists as a "surge," with the sense that the increase would be short-term.

とも書かれていた。

surge といえば私は、英和辞典の訳にある「急増」「急騰」が頭に浮かぶが、改めて英英辞典を見ると、a sudden and great increase という定義がある一方、

- a sudden increase in something, often one that is relatively short-lived
- a sudden large temporary increase

という説明もあり、「長期間にわたるものではない」といったニュアンスを持たせることができるようだ。

もっとも、以前取り上げた去年11月のベーカー委員会の提言や、このロイター通信の記事のあとに発表されたブッシュ大統領のイラク新政策を読んでみると、increase という語もちゃんと使われている。

だから、単純に increase が嫌われ、その代わりに surge が使われているともいえないようだが、いずれにせよ、よく使われるようになっているのは確かなようである。The American Dialect Society の専門家によれば、今後の展開次第では、surge が再び次回の "Word of the Year" の候補になることも十分予想されるということだ。

今回のロイター通信の記事は、次のサイトで読むことができる。
http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/N09475599.htm


関連:
2006年流行語大賞は「冥王星する」


画像