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zoom RSS 「おくりびと」受賞をめぐる外国通信社の報道のことなど

<<   作成日時 : 2009/02/24 10:30   >>

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映画「おくりびと」(英語の題は "Departures")がアカデミー賞を受賞した。すでに高い評価を受けているし、主演ではないが私の好きな山ア努が出演しているので観たいと思いつつ、まだ果たしていないので作品の感想は書けないが、日本映画の受賞は喜ばしいことである。

今回の受賞を海外のメディアがどのように伝えているか、ふと興味を持ってネットをのぞくと、外国語映画部門に絞って取り上げた通信社の記事があったので読んでみた。

この部門ではイスラエルの "Waltz with Bashir" の下馬評が高かったそうで、こうした記事は「おくりびと」の受賞はいわば番狂わせだったという表現をしている。



たとえばロイター通信の記事だが、

"Departures," a Japanese movie about an out-of-work cellist who takes a job as an undertaker preparing corpses for cremation, was the surprise winner of the Oscar for best foreign language film on Sunday.

(中略)



It was an upset win, after the Israeli animated documentary "Waltz with Bashir" was widely tipped to take the honor. A second Japanese movie won an Oscar for best animated short film.
(http://news.yahoo.com/s/nm/20090223/film_nm/us_oscars_departures)

もっと特徴があるのが、AP通信である。

Japan's "Departures," a film about a man who prepares bodies for burial, won the Oscar for best foreign language film in an upset over the favored "Waltz With Bashir."

(http://ca.movies.yahoo.com/news/movies.ap.org/japans-departures-wins-oscar-upset-ap)

と始めて、続く2パラグラフで映画のあらすじと滝田洋二郎監督のコメントと短く伝えたあと、

The win for the less heralded "Departures" was likely to further frustrate critics of the foreign film category, which in recent years has gone without nominating several much acclaimed films.

として、この部門でノミネートされなかった過去の作品の例をあげる。さらに、今回のノミネートされた作品を、「1982年に起きたイスラエルのレバノン侵攻を題材にしたゴールデン・グローブ賞受賞作の "Waltz With Bashir" 、、カンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞した "The Class" 、"The Baader Meinhof Complex" はドイツ赤軍を描いた作品」というように紹介していく。

重要な要素から先に書いていくという英文ニュース記事の原則に沿って、確かに受賞作の「おくりびと」について先に書いてはいる。しかし後半は、ノミネートされなかった、あるいは受賞を逸した作品の話で占められ、全体を読むと、「社会性の高いテーマを描いた作品がないがしろにされている」というのが筆者の考えなのではないか、と思いたくなった。意見記事ではないのであからさまにそう言ってはいないが、書き方でそれを示しているように感じたのである。もちろん、これはあくまで私の個人的な印象であるが。

ちなみに、今回ノミネートされた"The Class" はフランス映画だが、この国の通信社 AFP は、ライバルだった「おくりびと」の内容について AP よりもずっと詳しく伝えている。
(http://news.yahoo.com/s/afp/20090223/wl_asia_afp/entertainmentoscarsfilmforeignjapan)

さて、壇上にのぼった滝口監督は英語で受賞の言葉を述べ、テレビでも放送されていた。上記 AP の記事にもあるように、"This is a new departure for me." と、英語のタイトル Departures をもじったもので、うまいと思った。

departure には「死」という意味があるはずだが、私が持っている辞書をあらためて見ると「リーダーズ」と「ジーニアス大英和」に「<古>死去(death)」 とあるだけで、英英を含めて他の辞書には記述がない。この意味で使うのは今はまれのようだ。また、比喩的に使われていれば文脈からわかるはずだということか。

この英題は、映画に出てくる「旅立ちのお手伝い」という言葉から取ったのではないかと思える(上記ロイターによると "help with journeys" と訳されている)が、さらに、納棺師として新しい人生を始めた本木雅弘演じる主人公など登場人物の「出発」も含めたものではないかとも想像する。しかし確かなことはわからない。どのような意味をこめてこのタイトルがつけられたのか、ちょっと興味を持った。


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