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zoom RSS レーガン大統領の英語に学ぶ

<<   作成日時 : 2008/06/19 21:31   >>

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前回書いたシャトル事故の演説を含め、レーガン大統領の英語はわかりやすく、文体や音声の面で、日本人には格好の教材だと思うが、なぜかあまり取り上げられないようで、ちょっと不思議である。

レーガン大統領は私の大学時代と在任期間が重なる。当時、「タカ派」とさんざんこきおろされていた。私もそうした見方に影響されていたが、一方で、その演説や会見のニュースにラジオや英語雑誌のテープなどで触れることができると、一所懸命に耳を傾けた。

"The Great Communicator" とレーガンは呼ばれていたが、朗々とした演説や技巧を凝らした表現を駆使するタイプではなかったので、平易なことばと親しみやすい語り口を指してのことだろう。

タカ派ぶりに批判していたメディアのある記者が、本人に会ったとたんに魅了されてしまった、と書いた英文記事を読んだこともあった。レーガンは映画俳優だったから当然だ、彼はただ大統領を演じただけだ、という声もあったが、単に役者というだけで大統領を演じ切ることができるとは限らない、ともいえるのではないか。

映画といえば、レーガンが在職中に封切られた "Back to the Future" には、30年前にタイムスリップした主人公が「大統領はロナルド・レーガンだ」というと、そんなことは信じられないという科学者が「ならば副大統領は(喜劇俳優の)ジェリー・ルイスか」と切り返す場面がある。この映画、つい先日BSで放送されて私も久しぶりに観たが、懐かしい場面であった。レーガン本人もこのシーンはお気に入りだったと伝えられている。

さてレーガン大統領の言葉としては、ソ連を呼ぶのに使った "the evil empire" (今のブッシュ大統領が用いた "the axis of evil" にも影響を与えたといえるだろう)、先日取り上げた、暗殺未遂事件の際の "Honey, I forgot to duck." などが記憶に残っている。さらに、ベルリンのブランデンブルク門で、ソ連のゴルバチョフ書記長に呼びかけた一節も印象深かった。

General Secretary Gorbachev, if you seek peace, if you seek prosperity for the Soviet Union and Eastern Europe, if you seek liberalization: Come here to this gate.

Mr. Gorbachev, open this gate.

Mr. Gorbachev -- Mr. Gorbachev, tear down this wall!

(http://www.americanrhetoric.com/speeches/ronaldreaganbrandenburggate.htm)

ベルリンといえば、ケネディ大統領の "Ich bin ein Berliner." という名演説があるが、あそこまで感動的とはいえないまでも、レーガンの "Mr. Gorbachev, tear down this wall." も後々まで引用される言葉になったといえるだろう。先年レーガンが死んだとき、確かNPRの追悼番組で、このブランデンブルク門演説を書いたスピーチライターがその時の思い出を語っていたのを覚えている。

レーガンが大統領を退いたあと、ベルリンの壁、そしてソ連が崩壊し、冷戦は終結した。原因はいろいろあるだろうが、さんざん批判されていたレーガンの政策が何がしかの働きをしたことは否定できないのではないか。その頃には私も社会人になっていて、世の中が単純な見方では割り切れないものであることがわかってきていた。

その後、1994年に、レーガンは再び印象に残る言葉を残した。肉声ではないが、自分がアルツハイマー病に犯されていることを告白した公開書簡である。"My Fellow Americans, I have recently been told that I am one of the millions of Americans who will be afflicted with Alzheimer's Disease." で始まるその書簡は、短くてわかりやすく簡潔だが、読みごたえのある、そして感動的な文章だった。

Unfortunately, as Alzheimer's Disease progresses, the family often bears a heavy burden. I only wish there was some way I could spare Nancy (レーガン夫人) from this painful experience. When the time comes I am confident that with your help she will face it with faith and courage.

In closing let me thank you, the American people for giving me the great honor of allowing me to serve as your President. When the Lord calls me home, whenever that may be, I will leave with the greatest love for this country of ours and eternal optimism for its future.

I now begin the journey that will lead me into the sunset of my life. I know that for America there will always be a bright dawn ahead.

(http://www.reagan.utexas.edu/archives/reference/alzheimerletter.html)

紹介したようなレーガン大統領の演説や言葉が、ケネディ大統領の就任演説やキング牧師の "I Have a Dream" などに比すべきものだとまではいわない。しかし英語を学ぶ・まねぶ上で参考になるという点で、レーガンはもっと取り上げられてしかるべきでは、と考えている。そうではないのは、教師や学習者は、保守派のレーガンよりもケネディやキング牧師のような理想主義的な内容の方を好むからだろうか、というのは私の偏見かもしれない。

なおレーガンは、映画で演じた人物にちなんで the Gipper という愛称で呼ばれていた。知っていると過去の英文を読んだ時にまごつかないかもしれない。


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